間違った痛みの解釈
from:増田拓也
@Physio Lab.
昨日、3人連続で同じ質問されました。
きっと、これを読んでいるあなたが理学療法士なら同じ経験はあると思います。
また、これを読んでいるあなたが患者さんなら同じ経験はされているのではないかと思います。
それは何かというと、、、
最近、寒くなりましたね。
寒くなると痛みを強く感じる方が多くおられます。
昨日3人に同じ問いをされたのは、、、
「寒くなると余計に痛くなりますね、、、。」
です。
そう、こんなフレーズ一度は耳にしたり、言ったりしていますよね?
患者さんからしたら、寒くなっているから痛みがぶり返したような錯覚に陥ってますが、
実は違います。
確かに寒くなると感じ方が鋭敏になるのは事実です。
解剖学的には脊髄内で温度を司る経路と痛覚を司る経路が隣接しており、痛みは温度の影響を受けることになります。
例えば腰痛やリウマチの効能があるとして、温泉に記載されているのを見たことがあると思います。
あれも、温度の影響で痛みを緩和しているのです。
ですので、逆に気温が下がって(だいたい10℃以下)では痛みは増幅されて感じやすくなります。
ここで間違っていけないのは、寒くなった=痛みがぶり返したではないということです。
もちろん、本人は痛みを強く感じていると思います。
が、痛みの原因が必ずしも悪化しているとは言い難いということです。
ですので、決して悪くなっているという事でないことを患者さんに教えてあげる必要があります。
しかし、逆に言うと寒くなって痛みが増悪しているのであれば、
未だ痛みの原因が治りきっていない証拠でもあります。
キッチリとした治療で、痛みの原因をしっかり改善しないとクライアントさん、患者さんは改善したとは思いません。
また、よくあるもので、、、
「右の腰が痛いのが治ったら、左の膝が痛くなってきた、、、」
なんてこと聞いたことありますよね?
これは決して悪くなっているのではなく、人は痛みが一番強いものしか感じないようになっています。
移動したように感じるのは、潜在的な2番目の痛みが表に出てきた証拠です。
こういう現象を生理学的にcounter irritation(逆刺激?)とかっていいます。
患者さんを治療して、主たる痛みの部位の訴えが移動している間は改善している最中だと思ってください。
徐々に改善し、そのうちに何もなくなっているというのが、再発の少ない治り方です。
これをお読みの理学療法士・作業療法士のあなた、、、
間違った痛みの解釈していると、迷宮に迷い込みますよ、、、。
PS 昨日の3名は帰りには何もなく、寒い屋外でも痛みを訴えてはいませんでした。
―増田 拓也